只今、角川は大阪に来ております。
ミュージカル『CHESS』大阪公演。
東京公演に続き
連日、音楽と着替えの洪水に浸っております。
今回の角川の衣装は10種類。
劇中に着替えをする回数は
1幕が15回で2幕が4回!
なかなかに汗まみれになる公演でございますが
日々進化するべく精進を重ねています。
ということで、本日はエリザベート公演に引き続き
ヴィーガンド日記を書いてみようと思います。
またも、公演期間終了間近ではありますが。苦笑。
今回、2幕で登場させていただく
私の役「ヴィーガンド」。
ソビエト連邦を亡命した
アナトリー・セルギエフスキーから
チェスチャンピオンの座を奪い返すために
仕向けられた刺客。
ソビエトチームはヴィーガンドのことを
調整を施されたソビエトのチェス・マシーンと語る。。
今回この役を演じてみて、
個人の悲しみや憂いが絶対的な権力の元では
滑稽と嘲笑の対象になりうるのだということを
肌で感じています。
当時のソビエト連邦にとって
チェスの大会での勝利は政治的重要事項のひとつ。
ヴィーガンドはアナトリーの決戦に負ければ
粛清の対象になります。
家族との幸せや、もしかしたら
命を奪われる可能性もある。
実際に、チェスの試合で負けるとわかったプレイヤーが
恐ろしさのあまり大会の会場で倒れてしまったり、
粛清されて、幸せな生活を奪われたりしたそうです。
ヴィーガンドのアナトリーに対する勝利は
きっといつもの大会以上に
重要なミッションだったでしょう。
そんなプレッシャーのなかで
チェス・マシーンを演じ、勝利しなければいけない重圧。
今回、ヴィーガンドにつけていただいた
振付や動きがまさにマシーンのような動きでした。
その動きでさえも
ソビエトから課せられたものとして考えれば。。
それがどんなに滑稽なものだったとしても
言われた通りにマシーンになりきるしかない。。
東京公演でのヴィーガンドは、
試合の最後の最後まで
とにかくマシーンになりきろうとすることで
その重圧をはねのけようとしていました。
役者としてもマシーンになりきろうとすることが
ヴィーガンドになりきることだと思って演じました。
しかし大阪公演では感覚が少し変わりました。
試合に負けて家族にもし何かがあったら。。
自分の命が奪われたら残された家族は。。
そのことを深く考えるともう怖くて仕方ない。。
モロコフからマシーンと紹介されればされるほど、
なりきらなければという焦りがこみ上げてくる。
「おやすみ」という言葉も
大阪公演では、その場の人たちにではなく
自分の家族に向かって言うようになりました。
そして最終決戦前のモロコフとのシーン。
モロコフを演じるひのさんは
アドリブでヴィーガンドを脅してくる。。
「負けたら。。わかってるな。。」
「君には可愛いお子さんがいるそうだな。。」
何も言わず目で脅してくる時もあります。
東京公演では、その脅しで
マシーンになるべくもう一度スイッチを
押していましたが、大阪公演では
もう動悸が止まらない。。
そして最終決戦中も
アナトリーに対してみんなで歌う歌が
自分のことと重なってしまい、
もう後戻りができない自分の立場や
アナトリーへの強烈な仲間意識など
もう言葉では説明できない複雑な感情が
噴出してくるのです。。
でも本当に興味深いなぁと思うのは、
そんな中で僕が必死にチェス・マシーンで
あろうとすればするほど
自分が悲しくなるほど滑稽に感じられて。
そしてそれを見ている周りの人たちも
それを面白いと感じて、笑ったりもする。
権力って。人間って。人生って。。
本当に考えさせられる作品ですよね。
と。。長くなってしまいました。汗。
さぁ、ミュージカル『CHESS』も残すところあと4回。
ヴィーガンドはもちろん、他の役も含め
最後の最後まで生き抜きいてまいります。
どうぞ応援の程、よろしくお願いいたします。
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こちらも動悸してます、
いろいろと(^-^)
あと1回!